チャンを腕の中にしっかりと抱きかかえて、外の音が聞こえないようにする。
こんな馬鹿なコトに巻き込んじまっただけでも申し訳ねェけど、ちゃんとケリはつけるからな。
側にいる美冷と奥にいるオンナ達を眺めて、心の中でため息をつく。



――― 美人なオンナって、今までは思ってたンだけど・・・ナ



フッと肩の力を抜イてくと、いつも賭場でヤロウ達に向けるような笑みを浮かべ口元を緩めた。

「外見だけ綺麗なオンナに興味はねェよ。」

予想通り、オンナ達は顔を真っ赤にして食いついてくる。

「なっ!」

「それって私達の事!?」

「それ以外いるか?」

冗談めかしてそう言えば、奥にいたオンナ達が立ち上がってオレを睨みつけてきた。

「・・・今までと逆の台詞ね、それ。」

「ベッドで聞かせてくれた台詞は嘘だったのかしら?」

「どーだったかな・・・」

今までは思ってたって・・・お前らはマジでイイ女だってな。



でもそれ以上のオンナに ――― 出会っちまったんだよ。



視線を一度だけ腕に抱きしめたチャンに向けてから、もう一度その場にいるオンナ達へ視線を戻す。

「今まで自分が綺麗だって思えたモンが、彼女といるとウソだったって思える。」

オレの口から出た言葉が意外だったのか、一瞬アイツラの動きが止まった。

「お前らが美人だってのは認めるぜ?ここいらじゃ一番だ・・・けどな、全部がキレイだって思えるのは・・・コイツ以外ありえない。」

キッパリ言い切って、ゆっくり視線を腕の中でもがいているチャンに向ける。



・・・ワリィ、もうちょっと我慢しろよな。
こんな情けねェ台詞吐いてる姿、見せたくねェのよ。



「もし、また彼女を巻き込んで何かしようって言うんなら・・・オレが相手になってやる。」

「悟浄!?」

「・・・ちょっと、それマジ?」

「大マジ。」

自分でもビックリしてるっつーの。

「アタシ達が本気になったら、悟浄が賭場に来れなくなるってのも分かってるの?」

「あぁ。」

「生活費稼げなくなるんじゃない?」

「だな。」

「どうするの?」

「・・・どーにかするさ。」

「ここに、居られなくなるわよ?」

「そしたらどっか行きゃいいだろ。住む場所はココだけじゃねェからな。」

実際そんなコトになったら八戒にぐだぐだ言われンだろうなぁ・・・この町、やけにアイツに良心的だもんな。

「でも・・・」

「もういい。」

「美冷!でも・・・」

「いいの!!」

今まで一人沈黙していた美冷が胸元から一枚の絆創膏を取り出してオレのシャツのポケットへ滑り込ませた。
その顔は俯いている所為で表情までは分からない。

「ごめんって、言っといて。それと・・・今度店で会ったら、一杯奢って。」

「・・・あぁ。」

くるりとオレに背を向けた後ろで、まだ言い足り無そうなオンナ達の手を引いて歩き出す美冷の背にたまらず声をかける。

「美冷!」



「・・・幸運の女神は、もう一人で充分でしょ。」

それを聞いてオレは ――― 美冷のおもいを知った。



どれだけ自分が酷い言葉を言ったか・・・ケド、それでも一番に守らなきゃなんねェのは、この腕の中の彼女だから。
美冷にかけようとしていた言葉を飲み込んで顔を上げた瞬間、泣き笑いのような顔をした美冷が思い切り舌を出して・・・笑っていた。

「もう悟浄の勝ちなんてだ〜れも願ってあげないから!!」

「・・・バーカ、自力で勝つに決まってんだろ?」

「定休日はいつもと同じよ。たまには顔、出してね!」

「あぁ、今週は必ず行く。」

「・・・待っててなんて、あげないから。」

そう言ってくるりと踵を返して前を向いて歩いていく美冷を、オレは・・・綺麗だと思った。





だけど、それでも今、オレの心を占めているのは・・・





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はい、オマケになってるのはヒロインが悟浄に抱きしめられてて話が聞けない時の話です。
これを書いていて美冷が大好きになりました。
・・・カッコイイお姉さんが好きなんです(笑)
最後の「・・・待っててなんて、あげないから」ってトコが特にお気に入り♪
と言うわけで、今後も悟浄をからかい、ヒロインを構うために・・・もしかしたら出てくるかもしれないキャラですので、どうぞ温かい目で見てやってくださいm(_ _)m
美冷が悟浄に抱いていた想いは、すっきり消えますのでご安心を!
カッコイイ女は、自分に興味ない男にいつまでも引きずられないのです!(私的意見ですが(笑))